Population Limitation in Birds

Population Limitation in Birds

 借り物。鳥類個体群の制限要因のレビュー本。文章が平易で読みやすい印象。
 鳥自体の内部的要因(生理、行動、社会等)、外部的要因(他生物、非生物)、人間の影響の三本柱の構成。
 http://cse.ffpri.affrc.go.jp/myasuda/archives/newton15.htmlのレジュメを見たのがきっかけ。
 
以下、上より引用。

 酸性化は,カルシウムリッチな餌が減ることで利用可能なカルシウムの量が減少したり,また有毒な金属への暴露が増加することを通じて,鳥類に影響をもたらす.酸性化した土地のスズメ目のある種では,卵がないのに抱卵したり,卵殻薄化した卵がみられる.オランダのシジュウカラでは,障害(文脈から卵殻薄化のことか?)がある卵の割合が1983-84年の10%から1987-88年の40%に増加した.これは,土壌からカルシウムが溶脱し,植物中のカルシウムが減少し,鳥類にとって重要なカルシウム源であるカタツムリが減少したことによる.カタツムリの殻を砕いたものを実験的に与えたところ,シジュウカラの卵殻が向上し,繁殖成功度が高まった.また,石灰をまくことでカタツムリの個体数を増加させ,鳥類のカルシウム源の回復をもたらした事例がある.

 Graveland et al..1994.Poor reproduction in forest passerines from decline of snail abundance on acidified soils.。カタツムリのあるなしでここまでクリアな結果でたことから、現在も、土壌のカルシウム量と鳥の餌資源、鳥の繁殖率の関係について、かなり集中的な研究が行われている様子。レビュー(Reynolds et al.. 2004)もあり。カルシウムの塊を背負って歩いている陸棲カメ類とかでもこういう研究やってくれないかしら。ナメクジ、カタツムリの嗜好性のよさから見ても絶対に影響あるって。*1

*1:というわけで、今日のカメの餌にはたっぷりカルシウムをまぶした